熊本訪問記 第1章
熊本まで車で行って帰って来た。その距離約700キロ‥。実測値以上に何か途方もない距離感を感じた。その距離感は被災地とのあまりにも大きな温度差により生じたものだろう。700キロ先で大変なことが僅か1カ月前に起こり、そこでは住民が大変な思いで生活されていた。
被災地へ行く機会を得たということは、現状を記憶に留めることは勿論のこと、見聞し感じたことを知らない方に伝える任務がある。私のレポートを読んで頂くことで被災地に想いを馳せ、少しでも支援の輪が広がり、更には足を運ぶきっかけになれば嬉しいと思う。
熊本地震から1カ月が過ぎた5月18 日に、初めて熊本地震の被災地に日蓮宗大阪市社教会の会長を先導に有志3名で組織として訪問した。私は今回、震災が発生し組織された当会の災害活動部会担当長としての立場でもある。
私が東日本大震災の被災地に初めて行った日の49日目の光景とどうしても対比してしまう。地震の種類や規模、被災地域の広さも異なるので一概に比較はできないが、自然の威力に対する人間の無力さは、共通の認識としては全く変わらない。
周りが寝静まっている午前3時に集合し、防災グッズなどの荷物を載せ700キロ先の熊本方面へ車を西へ西へと走らせた。昼前、最初に訪れたのは熊本県の北部に位置する山鹿市の本澄寺様。ご住職の園田上人は日蓮宗熊本県社会教化事業協会の会長をされている。
山鹿市は被害はほとんどなかったことで、住職は積極的に市内の被災寺院に出向き、支援活動をされている。境内に瓦礫が積み上げられていたので伺ったところ、益城町の被災寺院から運んで来た瓦礫で土に埋められるとのこと。
住職のお話によると、会合を開きたくても、被災されている寺院が多くて出来ない状況で、被災状況を知るためのアンケートも未だに回収できていないとのこと。
本来なら社会活動を率先して行うはずの組織が機能せず、支援される側になってしまっている状況をご説明下さった。
頂いたお茶菓子は山鹿市の名物とのこと、柔らかく腰のある餅にこしあんが包み込まれた山鹿ようかんは歯応えが良く美味しかった。
報道などで何度も見聞きしている益城町。その町に踏み入れた途端に言葉に詰まった。
つづく
第2回お寺で読書会開催 〜テーマは直木賞芥川賞受賞作品〜
今日は第2回お寺で読書会がありました。今回のテーマは「直木賞・芥川賞受賞作品」でした。
先ずは私のミニ法話からで、今回は「追善供養」について5分程度お話をさせて頂きました。
亡き方がこの世では出来ない善行を行う、人と共に養うことは他者を思う慈悲の心。それが巡って成仏に繋がるというお話‥。
お寺ならではの読書会にしたいので、MCの方にご理解頂きお時間もらっていますが、仏教とは縁遠い方に、分かりやすく伝える話し方が求められ、もっと鍛錬が必要だと改めて感じました。
大まかに言うと、
いずれも1935年が初回でした。
芥川賞は必ずしも新人とは言えない作家さんが受賞しており、近年は新人という定義は半ば形骸化しているようです。
今回も様々な作品が紹介され、約90分の中で参加の皆さんから多くのことが学べました。
今回の紹介図書
辻 仁成 著『海峡の光』 第116回 芥川賞
浅井リョウ 著『何者』 第148回直木賞
私の紹介本は『海峡の光』でした。
1997年の第116回芥川賞受賞作である当作品は、函館の少年刑務所が主な舞台。
ということもあり、辻さん自身、函館市栄誉賞も受賞されています。
アマゾンのお気に入りリストに数年前から入れていましたが、今回やっと手に取って読む機会に恵まれました。辻さんの作品は初めて読みましたが、比喩表現が巧みな純文学で引き込まれました。
主人公は刑務所の看守で一人称形式の小説です。
主人公と小学校の同級生だった受刑者が刑務所で再会する。立場の異なる2人の対峙が興味く、心理描写が見事でした。
来月は6月12日午後2時からで『映画化、ドラマ化されたことのある小説』です。
チェルノブイリ原発事故から30年目の日に訪れた場所で‥
大学院時代の仲間が文学博士の学位を目出度く授与されたことで、先週は東京目黒でお祝いの集いが仲間うちであったので参加させてもらった。大阪で法務を終え新幹線で駆けつけたので、開宴ギリギリセーフとなった。学問の専門的な話はそこそこに、懐かしい話に花が咲いた。
東京に行く前、たまたまツイッターのタイムラインで展示情報を知った。宿泊先だった大森のホテルからは少し遠かったが行って見ようと思った。
貝原浩さんはチェルノブイリ原発事故以降、子供たちへの医療支援活動をされていた日本チェルノブイリ連帯基金の方々と1992年にベラルーシを訪れたそうだ。絵描きとして自分に何ができるのかという問いかけから、その思いを描き上げたとのこと。
2005年に57歳の若さで永眠しておられるが、今尚作品を通じ生き続けているのだと思う。
展示作品はチェルノブイリの町並み、村人たちの表情がリアルに表現されていた。
老人に刻まれた皺の一本一本が、無邪気な子供たちの表情が、そして廃村となった「埋葬の村」の閉ざされた家々の様子が印象的であった。
絵画一枚一枚に書かれた手書きの解説によって更に現状がよく伝わる。
販売されていた貝原浩画文集『風しもの村』を迷わず買った。
本の帯文を書かれていたノンフィクション作家の柳田邦男さんが受け止められたこの文章が私の中で腑に落ちた。
スケッチの作品集は「単なる悲惨さだけでの提示ではない。放射能汚染という終末的状況に投げ込まれても、小さい単位の小さな暮らしの営みによって、再生の道を探り生き切ろうとする、土に生きる人間への讃歌」
「人間、暮らし、再生」は福島においても大きな課題であり、強いメッセージとなって行くであろう。
奇しくも、4月26日は、チェルノブイリ原発事故から30年。(ギャラリーの方から知らされるまで知らなかった‥)展示の最終日でもあったその日に私が訪れたのは、偶然だったのでなく必然の結果として何らかのメッセージだと感じ取った。
最後に一言、私はフクシマというカタカナ表記にはやはり違和感が拭えない。
追伸 〓 ギャラリー古藤の女性スタッフとお話させてもらっている中で、私の親戚が江古田ユニバースという、アートの町を目指した企画をされ、その地に貢献されていたことを知りました。親戚の活躍は嬉しくもあり、刺激にもなります。何かとご縁を感じた江古田の訪問となりました。
豊中市仏教青年会さんの熊本地震救援募金活動に参加!
昨日フェイスブックでタグ付け頂いた私のウォールをご覧になった方は、なぜ私が豊中駅で熊本地震の募金活動を行っているのだろう?と思われた方がいらっしゃるかも知れません。それも他宗の僧侶の方々と一緒に…。
英会話サークル始めお寺ライブなど様々なイベントを長年されている豊中市の法雲寺様とイベント繋がりのご縁からです。募金活動をされるということで、支援をさせて頂こうとアクションを起こしたら、ご住職の辻本さんから「良かったら一緒に立って見ませんか」と声をかけてもらったので、協力させて頂くことにしました。
1時間立って声を出しながらの募金活動ご協力を微力ながら妻と共にさせて頂きました。
貴重な時間の中で、お一人お一人の被災地を思う温かい心が伝わってきました。
1人の力はでは微力ですが、あのような形で有志が集うことで支援の輪となって広がっていきます。東日本大震災の時もそうでした。
このような時こそ、宗派分け隔てなく伝統仏教が1つになって活動することが大切ですね。
尚、今回の募金は全額被災地に届けて頂きます。
念願のお寺で読書会を開催!!
4月10日にお寺で学ぶシリーズ、第1回「お寺で読書会」を開催しました。初回のテーマは「春」でした。春を感じる作品、春に読みたい一冊、春らしい描写がある本など、それぞれの春の本が登場しました。
当会開催にあたって、元演劇部の女性にMCをお願いしましたが、効率良く情報交換ができるよう、かつ皆さんが楽しめるように進めて頂きました!
今回、以下の作品の数々が皆さんより紹介されました。
・87分署シリーズ/エド・マクベイン
・朝食/ジョン・スタインベック
・また次の春へ/重松清
・学びスイッチ、オン!/スチュアート・ブラウン&クリストファー・ヴォーン
その中で私が選んだ一冊は、重松清さんの最新作『また次の春へ』
この本は、東日本大震災にまつわる7つの短編小説、実際に重松氏も震災後、陸前高田市中心に何度も訪れ、目で見てお話を聞き、知り、感じたことがあったからこそ書けた小説なのだと思います。重松さんと言えば、『とんび』や『流星ワゴン』が有名ですね。この短編集のいずれの作品も彼らしい家族愛がテーマとなっています。
東北の方にとっては、長くて厳しい冬を乗り越え、待ちわびた春が来る。「必ず春は訪れる」という意味でも、喪失の悲しみから再生への祈りや願いが込められた作品だったと思いました。
綴られていた「小さな親切、大きなお世話」という言葉が印象的で、慈善活動、ボランティアについても改めて考えさせられる作品でした。
最後は、お釈迦様の御降誕にまつわる話と命についてのミニ法話をさせて頂きました!(次回より、私のミニ法話は冒頭でさせて頂きます)
尚、次回の開催は、5月8日(日)午後2時からです。
何の本を紹介しようか、チョイスの段階から楽しんでおります。
「東日本大震災殉難物故者への追善供養と復興の祈り」回向文
東日本大震災から5年の月日が流れました。
特に昨日、今日は被災地始め全国で震災犠牲者への黙祷や祈りが捧げられたことでしょう。
3月11日とは、大切な亡き人を想い祈る日であることを本日改めて思いました。同時に被災者の方々の平穏と早期の復興を祈ることも求められるのです。
祈りは僧侶などの宗教者のみならず、多くの方々が共に心を込めて祈ることが大切です。
昨年、僭越ながらのも拙僧がアレンジさせて頂き、祈らせて頂いている回向文です。
「東日本大震災殉難物故者への追善供養と復興の祈り 回向文」
衆人を飲み、建造物を破壊し、市街悉く烏有に帰す。剰え福島第一原子力発電所に重大事故勃発せり。これ未曽有の国難とも謂うべし。
尊き生命を失うもの、未だ行方の分からざるもの多し、愛しき者を喪いし悲しみは獄卒の声なり。今茲に、物故の精霊を想い、読誦唱題の功徳を以て、速やかに霊山浄土へ導かれんことを。
佛、法華経に説いて曰く「今此の三界は皆是れ我が有なり。その中の衆生は悉く是れ吾が子なり。しかも今此の處は諸の患難多し、唯我一人のみよく救護をなす」と。出離生死の教えは、ただ一乗妙法蓮華経の法門なり。法華経の一文一句を聞いて、一滴の涙を落とさん者、その功徳によりて三界火宅の苦を離れ、必ず佛と成るべし。
また願わくは、罹災者の面々、現世安穏後生善処と導かれ、心に歓喜充満せること 甘露をもって灌がるるが如し。更に罹災地の状況、早期に復興せんことを。
普天率土 悉皆成仏 天下泰平 国土安穏 萬民快楽。
毎に自ら是の念を作す、何を以てか衆生をして無上道に入り、速かに佛身を成就することを得せしめんと。
願似此功徳 普及於一切 我等与衆生、皆共成仏道。
元東大教員でフルーツ研究家の中野瑞樹先生のお寺で学ぶシリーズ『図工で学ぶ立体算数!』
今日3月3日はひな祭りで、女の子の健やかな成長を祈る桃の節句とも呼ばれています。
私には妹がいるので、子供の頃は雛壇に雛人形を飾っていたのを覚えています。最近は住宅事情からコンパクトなお雛様が選ばれたり、あるいは飾らない家も増えてきているようです。
さて、光要山 本照寺では来月4月上旬にイベントを開催させて頂きます。
4月3日の午後1時より3時半まで、お寺で学ぶシリーズ『図工で学ぶ立体算数』〜四次元ポケット&フルーツの秘密〜 と題して、図工で学ぶ立体算数があります。
講師は元東京大学教員で、TV・ラジオ等のメディアを始め、様々な方面から注目されているフルーツ研究家の中野瑞樹先生です。
今回のイベントは、図工感覚で楽しく立体算数を学べて、お子様の知的好奇心をそそる綿棒を使ったワークがあります。更に、あっと驚く自然界の数字の秘密が聴ける大変レアなイベントです。
子供さんだけでなく大人も脳トレに役立つ内容となっています。
私も昨年、当イベントの初級編と中級編の二回参加させて頂きました。
小中学校時代は数学が得意科目だった私でしたので、ある程度の自信を持って臨んだのですが、見事に撃沈しました。それでも、助けて頂きながら立体が完成でき、時を忘れて熱中しました(笑)。手先を使うので、私のように固くなった頭をほぐすには最適ですよ。
4月上旬と言えば桜の時期、うちのお寺は隠れ桜の名所とも呼ばれる程で、高台から一望できる大阪平野、遠くは大阪港、六甲山を背景に咲き誇る桜の花をご覧頂くことも出来るのではと思います。
綿棒ワーク終了後は、オプションで境内でお花見と、お釈迦さまの誕生を祝い感謝する花祭りのミニセレモニーも楽しんで頂けます。
尚、当イベントの詳細はフェイスブックのイベントページをご覧ください!
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