本の紹介〜小説『日蓮』を読んで〜

佐藤賢一著、小説『日蓮』読了!

 

直木賞作家、佐藤賢一氏による著書で、日蓮宗からの推薦書籍でもあります。

 

日蓮聖人降誕800年を記念し発行されたこの一冊は、何と発行日が本年二月十六日の聖日になっています。

 

立教開宗から身延入山後までの激動の半生、数々の法難に遭遇する中、法華経の行者として立ち向かうお姿は、臨場感に溢れる内容となっています。

 

教師の読者にとっては、色々な感じ方があるかも知れませんが、あくまで小説ということで読み進めると良いかと思います。

 

本書の中で『法華経』や日蓮聖人の御遺文にも随所に触れることができ、魂のこもった渾身の一冊だと感じました。

 

小説『日蓮佐藤賢一著 (新潮社発行)

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今年は対策を講じながら行った大切な恒例行事

本照寺では毎年この時期に歴代上人開山会並びに永代施餓鬼法要を行っております。
昨年はコロナの影響で無参詣で行いましたが、今年は何とか感染対策を講じ縮小しながらも開催することが出来ました。昨日は梅雨の晴れ間で天候にも恵まれました。

 

永禄元年(一五五八年)の開創以来、長きにわたり教えを伝え、尽力頂いた歴代上人とご先祖に感謝の気持ちを表す大切な法要が当行事です。

 

菩提寺とは先祖のお墓やお位牌が祀られている場所のみならず、信仰の拠り所となる聖地、仏道修行を行い功徳を積む場所でもあります。

 

菩提寺の本堂は、ご家庭で祀られているお仏壇、更には日蓮宗の総本山である身延山久遠寺と一つに繋がっているのです。そのことを思い仏壇であっても本堂であっても変わらず報恩感謝の誠を捧げることが大切です。

 

コロナ禍による不安な世で、心に余裕がなくなり、自己中心的な考えに陥り、排他的になることもあるでしょう。こんな世の中だからこそ、広く他者に施す行い、手を差し伸べる優しさが大切です。

 

お釈迦様の慈悲の功徳が抱合されているのがお題目です。供養で共に養うのは他者を思いやる気持ちであります。お題目を信じ唱える姿は、お釈迦様の慈悲心の表れであり、供養の姿でもあります。

信じましょう!祈りましょう!

全ての人々の幸せが実現することを…

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あれから10年の3月11日「祈りの日」

11日は東日本大震災から10年、全国様々な場所で追悼式や法要、黙祷が行われました。

 

「10年節目である」仰る方もいますが、大切な亡き方に思いを捧げる日、感謝の気持ちを届ける日、私は総じて「祈りの日」だと思っています。

10年の節目だから、年忌に当たる年だからではなく、年に一度祥月命日を迎え、月に一度月命日を迎えます。どれも大切な祈りを捧げる日です。


現地に赴き法要を行うのが本意ではありましたが、大阪の自坊より、大震災追悼法要と併せて、1月23日に亡くなられた、お世話になった気仙沼「森のコテージ」オーナーの伊藤雄一郎さんの四十九日忌の法要を行いました。

 

撮影した法要の動画を岩手、宮城、福島の大切な方にもお届けさせて頂きました。そして伊藤さんにも…

 

「涙が止まらないと…」

その一雫の涙は供養の涙であり、仏様に成れる大切な慈悲の心の涙なんだと思います。

 

ありがとう…

南無妙法蓮華経 合掌

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1年後の世界 〜人間の心や行動が反映された結果〜

国内での初感染が確認されてからちょうど1年が経った。

ちょうど1年前は、多くの方々のご協力の元、自坊で終活に関するイベント『ゆいごん白書®️作成講座』を開催し、3社の新聞社より取材もして頂き、盛り上がった。まさか一年後、このような世情になっているとは想像だにしなかった。

 

下旬に開催された私が幹事&司会をした宗門の新年会では、最後の締めで「変な風邪が流行っているのでお気を付けください」とウケ狙いで締め括ると、笑いが飛び交った。

昨年1月は、まさか日本に限って感染症など広まることはないという楽観視が一連の行動で伺える。

 

もはや誰が感染してもおかしくない。自分や身近な人が感染することも想定内だ。
そんな中、差別や偏見はあってはならない。誰も悪くない。

だったら憎むべきはコロナだと、新型コロナウィルスこそ悪の根源とされているが、元々人間の欲望から生み出されたウイルスと言っても過言ではない。

 

あらゆる人間の心や行動が反映された結果が国土の盛衰・環境となってあらわれているのだ。

物事や事象を善か悪かで括るのではなく、善悪別のものではなく、無差別の一理に帰着するのが仏法である。全てはお釈迦様の救済の世界にある。

 

「冬は必ず春となる」

今から1年後は、1年前は考えられなかったと言える世が訪れることをお祈りする。

 

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新年のご挨拶〜『鬼滅の刃』から説く鬼の心・仏の心〜

                      

あけましておめでとうございます。
旧年中はお力添えを賜り厚く御礼申し上げます。

本年もよろしくお願い申し上げます。

 

昨年よりアニメ「鬼滅の刃」が大ブームを巻き起こしています。本作の時代背景は大正時代、主人公の竈門炭治郎は家族を鬼に惨殺され、唯一生き残った妹の禰豆子ですが、鬼の血が入り鬼化されてしまいます。炭治郎は大切な妹を人間に戻すため、修行をし鬼殺隊戦士となり鬼退治の旅へ…。 

 

大ヒットの理由として「コロナ禍の不安な世の中で、身近な人や自分自身がいつ鬼に豹変するかも知れない。誰が攻撃されても不思議ではない不安な社会背景にあるのでは」とある精神科医が指摘されています。 

 

仏教で鬼は様々な姿で現れます。インド神話にも登場する夜叉(薬叉)は、鬼神として人を食らう存在でしたが、人間に恩恵をもたらす面もあり、後に仏教に取り入れられ護法善神となります。

 

また、幼児をさらい食い殺していた鬼子母は、お釈迦様の手立てにより、可愛がっている一人の子を隠されたことで、子供を失う親の苦しみが分かり改心します。後に、『法華経』の「陀羅尼品」で鬼子母神は、十羅刹女と共に法華経の行者を守護する誓願が述べられ、日蓮宗では守護神として尊崇されています。

 

人間の心には鬼の心も存在すれば仏の心も存在します。日蓮聖人は「法華経の文字一字一字は生きた仏様であるが、私たち凡人の眼にはただの文字にしか映らない。例えば餓鬼にはガンジス河の水が火に見える。人にはそのまま水と見え、天人には甘露に見える。同じ水でも心の境涯によって異なって受け止められる」とご教示されています。

 

もはやこのご時世、誰がどこで感染しても不思議ではありません。感染者への差別や偏見は決してあってはなりません。
鬼の心ではなく、仏様の心で物事を見、人様に寄り添い、敬い合える世となるよう祈念いたします。

 

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令和2年大晦日…1人反省会

大変な年となった令和2年も残すところ数時間である。新型コロナウイルス、経済悪化、自然災害、猛暑…まさに天変地異の多難な年となった。

 

自己に目を向けるとどうだろう?

ここで今年の自分の取った行為を見つめ、1人反省会を行うとする。

良かった点…

ステイホームの時間が増えて、読書、勉強時間が取れた。5月に仏教講座で講師予定だったのが中止になったことで、備えて準備していたテーマについて自坊の機関紙号外として執筆した。

朝のお勤めの量と質が昨年までと違いかなり良くなった。

会合が極端に減り飲みに行くこともなくなり、早寝早起き習慣、規則正しい生活で体調の良さをキープできている。

 

 

悪かった点…

人との対話の機会が減り、思いが伝え切れない部分があった。

軽はずみな言動で同業者に迷惑をかけたことがあった。

コロナ禍故と内に向いてしまい積極性がなくなった。

Zoomなどオンラインを取り入れ、可能な限り参加するようにしたが、コミュ症があからさまになった。

 

反省の省の「省みる」とは、過去を考え振り返る。「省く」とは、悪い部分を取り除く意味があるとのこと。反省の先にはきっと成長と明るい未来があると信じたい。

 

「冬は必ず春となる」

先ずは早期の疫病退散を祈り、日本中、世界中の安穏を祈る。

 

来年が皆様にとって明るい良い年となるよう、お祈りする。

 

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