日蓮聖人が描かれている『来襲』を読んで

最近読んだ『来襲』という上下の長編歴史小説を紹介させて頂きます。

著者の箒木蓬生氏が、日蓮聖人のお姿や元寇がいか様に書かれているのか興味があり、購読しましたが、最後は涙なしには読めない、期待以上の小説でありました。

 

時は鎌倉時代、当時モンゴル高原及び中国大陸を中心に支配していたモンゴル帝国という強国が勢力を伸ばしていました。当時は「もうこ」や「むくり」と呼ばれ恐れられていました。

蒙古及び属国であった高麗によって二度にわたる日本侵攻を元寇、蒙古来襲と言います。

 

主人公は、安房の国の漁師であった見助、十五歳の頃に日蓮聖人に出会い、惹かれ、耳目として献身的な奉公の姿と成長が描かれます。日蓮聖人に託された目的地は何と元寇前の対馬でありました。

 

日蓮聖人は代表的著述『立正安国論』の中で、人々が正法である『法華経』に背くことで、外国からの侵略始め種々の災難が起こることを予言。

 

対馬で見助は、日蓮聖人の予言通り、蒙古来襲を目の当たりにします。長年にわたる日蓮聖人と交わされた手紙のやりとり、様々な人物との出会いと別れには心震わされます。

 

勿論小説ですので、史実とは乖離した部分もありますが、富木常忍など登場人物の姿にも目が離せません。

「もうこの世で思い残すことはない、あとは日蓮様の許に還っていくだけだ」と言える最期、日蓮聖人のお弟子、法華経信者として、そういう人生でありたいものです。

 

f:id:m-eishumonk59:20201214171222j:image